2019年1月12日土曜日

道路元標の立地を類型化

一口に道路元標と言ってもどこにあるかはその市町村によってまちまち。しかしあちこちを周っているうちにある程度類型化できるのではないかと考えまとめてみました。
なお例の中の群名は一部群区町村制以前までさかのぼって表記しています。



先ずは基本4形態

①役場/役所前タイプ
1市町村に一つという道路元標の設置要件を考えると一番自然な立地だと思われる。感覚としては1番数が多い。


中之條町道路元標(群馬県吾妻郡、現中之条町)
小手指村道路元標(埼玉県入間郡、現所沢市)


②寺社門前タイプ
感覚的に数は①の役場/役所前タイプと同じくらいの数がある。その地域の寺社の地位の高さに影響される?


青森市道路元標(青森県東津軽郡、現青森市)、善知鳥神社前
府中市道路元標(東京都北多摩軍、現府中市)、大國魂神社前


➂高札場タイプ
高札場は町の端っこに置かれることが多いがその町の情報の中心として十分な中心性を持っていると思われる。街道沿いにあることも多いため街道型と兼ねることも多い。


奈良市道路元標(奈良県添上郡、現奈良市)
萩町道路元標(山口県阿武郡、現萩市)


④街道タイプ
街道沿いにあり、道路元標としては他の地域との距離を測るという本来の意味を考えると最もまっとうな立地であると考えられる。街道の起終点にあることが多い。また、街道から道が分岐する辻であることも多い。


東京市道路元標(東京都(豊島郡)、現中央区)
京都市道路元標(京都府、現京都市)


更にそれぞれの亜種と言えるものが以下の4つ


①’役場/役所先タイプ
①の亜種で役場/役所が奥まった場所にある場合主要道路の辻に置かれることがある。街道型と兼ねる場合も多い。


下関市道路元標(山口県豊浦郡、現下関市)


①”県庁前タイプ
①の亜種で県庁前にあるタイプ。県庁所在都市には限りがあるので数は少ない。一部の県庁所在都市にとっては都市の中心は市役所ではなく県庁だったようだ。


長崎市道路元標(長崎県西彼杵郡、現長崎市)
熊本市道路元標(熊本県飽託郡、現熊本市)


②’寺社先タイプ
②の亜種で役場/役所が奥まった場所にある場合主要道路の辻に置かれることがある。街道型と兼ねる場合も多い。明治の上知令以前の寺社地の端と対応することもありそう。


長野市道路元標(長野県上水内郡、現長野市)


④’水路タイプ
④の亜種で水路が主要な交通手段である地域にある。


嵯峨村道路元標(京都府葛野郡、現京都市)(永太郎さん情報提供)

2019年1月6日日曜日

日本全国道路元標マップ

Googleマイマップで日本全国の道路元標マップを作成しました。

https://drive.google.com/open?id=1VJuaZ8C1Ig7l2Cqkfvle0PG4_HMAYLnM&usp=sharing

データ元は標石研究家の故池澤重幸氏のサイト「日本の道路元標データベース構築に向けて」から。
なお作成時に現在の管理者の方と連絡を取ろうとページ下部のアドレスにメールを送ってみたところ、アドレスが変わっていたらしく帰ってきてしまい、連絡が取れませんでした。
もしどなたか管理者と連絡を取れる人がいらっしゃれば教えてください。

次に詳細表示時の各項目の解説です。
元標名:そのままです。
訪問順:池澤氏が訪問した順番です。
年月日:池澤氏が訪問した日です。
出力N:緯度
出力E:経度
地名:その場所の住所ですが、一部平成の市町村合併前のものがあるみたいです。
場所の説明:池澤氏が訪問した当時のその場所の説明です。


さて、この道路元標マップは池澤重幸氏が作成した一覧表をそのまま地図おとしたもので、改変は一切行っていません。故に氏の入力時のミスもすべてそのままです。
したがって新発見、消滅確認一切更新されていない10年ほど前のデータベースになります。
また、氏のデータベースの1833件のうち398件については緯度経度の情報がなかったため入力されていません。よってマップに載っているのは1435件となります。
さらに、経緯度情報は0.1秒単位なので数mの誤差が出ている場合があります。
今後、これを基に独自のデータベースの構築をしていけたらと思います。

ブログ開設

はじめまして。
小林護の地理ブログです。

内容から更新頻度まで何もかも未定ですがどうかお付き合いいただけたらと思います。

ちなみに「地理歩き」とは地理の世界を歩き回るという意味でつけました。ですので別にまち歩きのブログではありません。まち歩きもしますが。

筆者プロフィール
小林護
駒澤大学文学部地理学科地域環境研究専攻卒
神奈川県藤沢市出身、兵庫県尼崎市在住

所属学会等
日本地理学会
兵庫地理学協会
地図倶楽部

実績

研究発表等
2018.9.22-23
2018年度日本地理学会秋季学術大会ポスター発表
「日本の大学における地理教育の現状についての予察的研究」(共)
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007539736

2019.9.21-22
2019年度日本地理学会秋季学術大会ポスター発表
市街地における伝統的建造物群保存地区の立地特徴の分析」
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007711018
駒澤大学マップアーカイブズの現状と新規受け入れ資料の概要について」(共)
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007710932


2020.3.27-28

2020年度日本地理学会春季学術大会ポスター発表
「駒澤大学地理学科所蔵外邦図のインデックスマップ作成」(共・筆頭)
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007822033
「外邦図を用いたジオリファレンス 」(共)
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007822034
大学サークル「駒澤大学地理学研究会」の活動と課題」(共)
CINII→https://ci.nii.ac.jp/naid/130007822150


イベント主催
2018.9.23
2018年度日本地理学会秋季学術大会(和歌山大学)
「学生から見た地理学」(共同)
報告記事→『「学生から見た地理学」開催』 月刊地理2018年11月号

2018.9.23

(和歌山)
「学生地理屋交流会」

2019.3.18

(内外地図イベントスペース)
「学生地理屋研究発表会」
イベントスペースHP

2019.3.22
(向ケ丘遊園)
「第二回学生地理屋交流会」

書籍等
駒澤大学地理学科所蔵外邦図目録第二版 駒澤マップアーカイブズ編
製作協力

散歩なう 201910~ 連載 
基準点散歩
M.小林名義で寄稿
雑誌の公式ページ(Facebook)

下国雑誌第二号
淡路島の里程元標調査報告

その他
駒澤マップアーカイブス(外邦図研究会)
2016年度書記
2017年度副代表

学士論文論題
「伝統的建造物群保存地区の立地特性」

吹田市の軽便鉄道について

この記事は道路元標調査の副産物としてできた記事である。  先日、道路元標の調査のために今昔マップで吹田市を見ているとふと1本の線路記号に気づいた。 図1 2万5000分1吹田および大阪島北部 昭和4年修正、同7年発行  時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」(...